不動産を売却する際は、土地と建物の按分比率を決める必要があります。
按分方法はおもに4つ分けられ、それぞれの違いを知っておくと売却後に起こりうるリスクを減らせるでしょう。
今回は按分する4つの方法と按分を決める際の注意点についてご紹介します。
不動産売却の按分とは?4つの方法を紹介
マンションや戸建てなどを売却する際は、ほとんどのケースで土地と建物の価格をまとめて売却価格を決定して広告を出します。
しかし建物の消費税を算出するには、総額から建物の価格を決めなければなりません。
そこで以下の4つの方法のいずれかを用いて按分し、土地と建物の価格をそれぞれ決めます。
●売主と買主で話し合う
●固定資産税評価額で決める
●購入時の価格と消費税から決める
●不動産鑑定士に依頼する
按分方法には明確な取り決めがなく、売主と買主間で合意があれば自由に決められます。
ただし、極端に比率が偏っている場合は、消費税を納税する際に国から指摘を受ける可能性もあるため、比率の偏りに注意が必要です。
固定資産税評価額とは、不動産の固定資産税を決めるときの基準となる評価額をいいます。
固定資産税評価証明書に記載されている土地・建物価額を利用して按分計算するので、もっとも客観性と合理性に優れた方法といえるでしょう。
不動産を購入したときの価格がわかれば、購入時の価格と消費税から逆算して按分を割り出す方法も有効です。
高額な費用がかかるものの、税務上リスクの少ない方法として不動産鑑定士に依頼し、プロの目線で算出してもらう方法もあります。
不動産の売却で按分する際の注意点とは
按分するときに注意しておくことは、土地は消費税が非課税、建物は課税対象となるため、按分比率によって双方の消費税の負担額が変わるという点です。
売主は消費税を支払う必要があるので、利益を上げるために可能な限り建物の比率を下げたいと考えるでしょう。
一方で買主は消費税を支払った分を控除できるので、建物の比率を上げたほうがメリットは大きくなるのです。
明確な根拠に基づいてお互いが納得したうえで適正な価格にしておくと、その後のトラブルを防げるでしょう。
もう一つの注意点は、第三者から見て合理的な方法を選ぶことです。
当事者間の話し合いで按分の比率を決めるのは問題ありませんが、どちらかに大きく偏っている場合はリスクを伴うのでおすすめしません。
買主は購入した建物を中古資産として減価償却していきますが、建物が適正な価格でないと減価償却費も同様に扱われ、のちに問題となるケースがあるからです。
いずれにしても按分比率を決める際は、根拠を明確にしておくことが重要といます。